企画概要

《人と場所、時間を繋ぐアートプロジェクト》

■航跡図−artery of sound−とは

作曲家・⾼⼭葉⼦と美術家・ナオヤスダの企画による、松重閘門と中川運河を舞台としたアートプロジェクトです。

中川運河はかつて、中部圏における近代産業の⼀⼤流通拠点であり、そこには多くの舟の往来、⼈々の賑わいがありました。しかし、他の輸送⼿段の発達により、その役⽬を終えた今、中川運河の象徴的存在であった松重閘⾨は堅く閉ざされ、運河上にはひとつの時代を終えた静けさが漂っています。

現在はほとんど動きの無い運河の水面。しかしながら、これまで此処を通った無数の船の姿は、我々の記憶と歴史に、決して失われることのない「航跡(船が通り過ぎたあとの水面に残る波や泡の筋)」を残しています。

中川運河がart(芸術)の力でartery(主要水路・幹線)としての力を取り戻すとき、その水面に新たな「航跡図」が描かれます。

■2つの航路

本プロジェクトは《パフォーマンス公演》《インスタレーション展示》を実施する2つの船が、それぞれ約8ヶ月をかけて準備及び制作を進めることにより実現するものです。

2つの船の航路が2016年11月19、20日に交差する時、松重閘門には祝祭の明かりが灯されます。

■舞台公演

松重閘門を舞台とした、音と映像、身体によって紡がれるミュージックシアター公演。

中川運河に光を乗せて浮かぶ170艘の「艀」を借景にしながら、<航跡を描く>をテーマに、中川運河の過去と未来、人々と運河の繋がりを浮かび上がらせます。

■ワークショップ

中川運河周辺の小学校・企業様の協力によって行う、子供から大人まで楽しめる「艀(かつて中川運河を盛んに往来した積荷を運ぶ小さな舟)」作りワークショップ。

完成した「艀」は、舞台公演当日に西日置橋から松重閘門までの中川運河上に配され、最盛期の中川運河の姿を彷彿とさせる光の線を描き出します。

■ひとりひとりが、<舟>

このプロジェクトにおいて我々は、参加して下さる方ひとりひとりを<舟>だと考えます。

日常的にはそれぞれ別の針路を持って進む沢山の<舟>たち。彼らは一つのアートプロジェクトを共に作り上げ体験することで、記憶を共有します。それはプロジェクト終了後、彼らが再びそれぞれの未来へと漕ぎ出して行った後も、運河上に

<場の記憶>として残るものです。

<場の記憶>は航跡となります。<舟>たちが水の上に残した航跡は、その後に続く<舟>たちに進路を示します。

喜びある<場の記憶>を得た舟は、新たな舟を連れて再び中川運河に帰ります。


こうしてめぐる数年ののち・・・それぞれの航路を進む舟が中川運河を振り返るとき、

この場所には必ずーArt―の力で描かれた、文化を運ぶ―Artery―、つまり主要幹線の脈打つ音が聞こえることでしょう。


航跡図 -artery of sound-

アートの風によって運河に生まれた水流に「人」の航跡を加え、未来へと共に進む。

Email : kousekizu@gmail.com